開発担当者が明かすロングカバーオール開発秘話。
インディゴ染めのコットンという点では同じだが、デニムとは異なる褪色がフレンチヴィンテージの風格。
以下の記事は【Le Sans Pareil × 2nd ロングカバーオール】の開発担当者による開発エピソードと、このアイテムにかける強すぎる想いを徒然なるままに書き連ねた、長い記事となります。ご了承ください。
意外な発見!
実はレアアイテムだったコットンジャケット。
このアイテムを開発したきっかけはまったく別のヴィンテージアイテムを持参しての、ルサンパレイユとの打ち合わせだった。
その日は前回のコラボに続き第二弾となるアイテムの開発をすべく、私物のフレンチビンテージを用意していた。いわゆるフレンチビンテージの中でも代表格と言える、【インディゴリネン】のスモックだ。当時の羊飼いなどが着用していたと言われるもので、インディゴで染色した黒に近い平織のリネン生地に表面に糊のようなコーティングを行っている。ただ、ゆったりとしたシルエットに加え、肩周りなどが丸く、前後の見頃にわたり無数のダーツが取られているため、ユニセックスなデザイン。それゆえに私自身も含め着づらさを感じる男性も多いのだが、これをもとに新たなコラボアイテムが作れないかと相談するつもりだった。
ルサンパレイユのディレクターや企画担当の方とは久々の打ち合わせだったため、少しでも話のネタになりそうなものを着用しようと、パンツはフランスの太畝コーデュロイのジョッパーパンツ、シャツも白のグランパシャツ、最後に【インディゴコットン】のカバーオール型のジャケットを羽織り、自宅を出たのだった。
打ち合わせの現場に着き、挨拶もそこそこにジャケットを脱ぎ、カバンからインディゴリネンのスモックを取り出そうとしたところ、
「いま着てるジャケット、それなんですか?」
「ああ、これパリの【クリニャンクール】(パリで最も有名で規模の大きいアンティーク街)で買ったものです。チャイナボタンではありませんが、在仏中華系移民の方々に向けてワークウエアを作っていたといわれる【ランチシェール】のものですね。年代などの詳細は店の人も曖昧でしたのではっきりとしませんが……話のネタになるかもと、着てきた甲斐がありますよ。ありがとうございます」
'40年代以前と推測されるランチシェールのタグ。
あえてインディゴリネンではなく
インディゴコットンが2nd流。
「いやー、カッコイイですし、見たことないのでビックリしました」
「そうなんですね。そんなに珍しいものだとは知りませんでした。フレンチとかユーロ系にはあまり強くないもので。で、本題なんですが、このフルオープンのスモックをもとにコートが作れないかと」
「ああ、そっちなんですね。インディゴリネンですか……。実は内密にして欲しいんですが、我々も生地を開発中でして……いいのができるはずなんですが、少し時間がかかるかもしれないですね」
「なるほど。そうですか。ではまた改めて仕切り直してお話ししに参るしかありませ……」
「いやいや! 今すぐに取り掛かれるのが目の前にありますよ。超レア! いま着てるものです」
「は!? これ? コットンですよ!? フレンチヴィンテージといえば、インディゴリネンと思っていたんですが……」
「たしかにそういう考え方もあります。それはそれでまた改めて。だって、トラディショナルでスタンダードなアイテムだけでなく、他の人が着てなさそうな個性的なアイテムや、マニアックで『そこ!?』って服に目をつけるのも2ndらしい視点ですよね?」
「ええ、まあそうではありますが……。でもこれ、一見しただけだとアメリカのカバーオールっぽくないですか?」
「そこは細番手の生地とピッチの細かい縫製で、フレンチらしさをきっちり再現します。たぶんこの生地なら(ゴソゴソと取り出す)いい感じにエイジングします。インディゴでコットンといえば、デニムが代表的ですが、良くも悪くも野暮ったいところはあります。その点、この生地ならフレンチらしい上品さとワークウエアらしいエイジングをきっちり再現できるはずです」
「ではせめてフレンチらしいエレガンスを付け加える意味で、ロングコートにしませんか? フレンチビンテージにはアトリエコートもありますし」
「そのままでも十分面白いものができそうですが、それで一度サンプル作ってみましょう」
1stサンプルの時点で
すでにフレンチヴィンテージの風格!
それから1か月あまり。いよいよサンプルが上がったとの報告があり、早速打ち合わせに。そこで見たものは、このヴィンテージが新品だったころ(もちろん想像ですが……)をまさに再現したもの! コットンながら深く濃いインディゴからは光沢感があふれ、ブルーブラックのインディゴとのはっきりとしたコントラストを生み出すホワイトの縫製は、ワークウエアながら高いデザイン性すら感じさせる。
糸染めで深く染めあげられたインディゴ糸を播州で織り上げるというスペシャルな生地だけに、紙でこすると移るが、これこそがヴィンテージを再現している証ともいえる。着丈ほかサイズ感に加え、縫製などの仕様のチェックなどを行ったが、ほとんど修正する余地はない。しいて言うなら、縫製糸をもう少し細番手にしてさらにヴィンテージに近づけること、伴って縫製ピッチ(ミシン目)をさらに細かくしてもらうという、細かすぎるリクエストを残し、2ndサンプルを待つことに。この【細かすぎる】視点は、ヴィンテージやトラディショナルなアイテムを好むセカンドとしては、非常に大事なこと。スタンダードやトラディショナルなアイテムにはそれ相応の理由がある。ヴィンテージが唯一無二の存在感を放つのは、細部にこそ理由があるからなのです。
ついに2ndサンプルが完成!
細部にこそ本質が宿る。
上が2ndサンプル、下が1stサンプル。ステッチの存在感が薄れ、よりヴィンテージに近い雰囲気に修正された。
左が2ndサンプルで中央がオリジナルとなったヴィンテージ、右がファーストサンプル。ピッチの違いが分かってもらえるだろうか? 同じ箇所を縫うミシン目の数が異なることがその証拠だ。
セカンドサンプルを待つこと、それから1か月あまり。販売を開始した段階ではファーストサンプルしか見せることができなかったが、いま商品紹介を行っているのはセカンドサンプル。写真を見比べれば一目瞭然! ステッチの細さもピッチもまったく異なります。変更した点は縫製部分だけだがが、アイテムの面構えが大きく異なることがわかる(はず)!
ヴィンテージへのリスペクトは過剰なほどに持ちながらも、いま着やすい着丈へとアレンジを加えています。着用を重ね、洗濯を繰り返すことによりベースにしたヴィンテージに近い色や風合いに近づいていきます。写真左はバイオ加工によって半ば強制的に経年変化をさせたサンプルなので、同じようになるとは言えませんが、少しずつ自分らしいあたりが出て、自然な風合いで褪色していく様を楽しんでもらえたら幸いです。
アイテム開発担当者より
ご購入はこちらから
購入期間:2022年1月21日(金)12:00~2022年3月10日(木)19:00まで
配送時期:5月中旬頃予定
※制作都合によりお届けが遅れる場合があります。あらかじめご了承ください。
【価格】
3万8500円(消費税、送料込み)
【サイズ】
38(S):着丈106 × 肩幅48 × 身幅60 × 袖丈61cm
40(M):着丈109 × 肩幅50 × 身幅62.5 × 袖丈62.5cm
42(L):着丈112 × 肩幅52 × 身幅65 × 袖丈64cm
※洗濯後の縮み目安 着丈2~3cm、身幅0.5~1cm、袖丈1~2cm
ご購入前に以下の注意事項をご確認ください。
※こちらの商品は完全受注販売商品です。
※ご注文から1週間以内のキャンセルが可能です。購入完了メールに記載のお問い合わせメールアドレスに、キャンセルの旨ご連絡をお願いいたします。購入完了メールが迷惑メールに入ってしまうことがございますので、届かない場合は、そちらも合わせてご確認ください。
※お客様都合の返品は受け付けておりません。
問い合わせ/2nd.info@heritage.inc
ご購入はこちらから
戻る
次へ
カテゴリー
ニット界最強のアウター、カウチンセーターとは?
【2nd編集部のレビュー&スナップ】gim × 2nd...
ARMY TWILLというブランドを知ってますか?
実はあまり知られていない幻のブランド、「アーミーツイル」。よほどの古着好きならタグくらいは見たことがあるかもしれないが、あまりメジャーなブランド名ではないだろう。アメリカのブランドであることは間違いない。そして、ブランド名の「ARMY」は陸軍を意味するとして、「TWILL」とは何か?